Hちゃんのレッスンは、初見演奏から始まります。

ごく簡単で短いものを何曲も弾きます。

教本の課題の曲は、片手ずつならちゃんと弾けるけけど両手になると、どちらかの手がもう一方につられてしまいます。

こんなことはHちゃんだけではないのですが、力が入って緊張した状態になると、頭ではわかっていても思うとおりに指が動かないのです。

そうなると練習もかなり忍耐がいるし、面白くはありません。

それで、初見でも弾ける程度の易しい曲をレッスンのたびに何曲かやっていました。最初に楽譜全体を見て伴奏型や和音の種類、リズムや形式などを把握するようにして、ゆっくり弾いていきます。

弾きながら少し先の小節を見る、なるべく大きく楽譜を見る、指番号と音符を一緒に見る、そんな「目のトレーニングだよ」と言っています。

指を動かすことを意識し過ぎるあまり緊張によって返って動きにくくなっているような気がしたのと、音符を見ることに意識を向け自然と鍵盤や指を見ないで弾くよう誘導できたらと思ったからです。初見だと手元を見ているヒマがないところがいいのです。

練習の必要がない初見演奏は、結構気にいっているようです。

そんなことを続けていくうちに、教本の宿題を今までになく上手に弾いてきました。つっかえつっかえ弾いていたのが、随分滑らかに弾けるようになってきました。自分でも前より慣れてきたような気がすると言っています。そして次の新しい課題の曲を出そうと教本のページをめくると、すでに自分で和音や形式を分析して書き込みがしてありました。

家で自分でやってきたんだなあ。

レッスン中に両手がうまく噛み合わないと、すぐ涙が出てしまうHちゃんでしたが、最近表情から少し自信が持てるようになってきた気がします。

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